東京福祉大学

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ある中間管理職のつぶやき 第2回

 2回目は学生のニーズについて考えて行きたいと思います。ニーズについて考える前に、人は何にお金を使っているのか?を考えてみましょう。それが分かれば、学生募集のヒントになります。
 大学で働いていると「学費が安ければ、場所が都会ならば、いい授業を提供できれば、学生がたくさん入学してくる。」と考える人が多いと思いますが、本当にそうでしょうか?
 教育環境を整えるだけでは学生は集まりません。さらに「入学した〜い」と、強くたくさんの学生に思わせなければ、安定した学生募集にはつながりません。理屈にアプローチして考えてはいけません、相手の感情にアプローチして考えて下さい。
 学生が入学したいと思わなければ、どんなにいい大学でも学生は入ってきません。まず、学生に入学したいと思わせて、その上で学費が安くて、場所が良ければ学生はますますたくさん入ってきます♪
もうお分かりだと思いますが、人は何にお金を使っているのでしょう?
 答えは感情です!
 お金持ちになりたかったり、名誉が欲しかったり、ダイエットして綺麗になりたいのは、人間の感情の部分である安心感・優越感・自己満足感が欲しいからです。人間は常に自分の感情を満たすことを求めています。
 安くても時間が分かればいい時計、物が入ればいいカバンですが、高額なロレックスやルイ・ヴィトンが売れるのは人間の感情の部分である優越感を満たしているからです。
 皆さんも経験したことがあると思いますが、雑誌や深夜の通販番組で幸運になるブレスレット、簡単に痩せられるダイエット商品など、胡散臭いと思っても手が伸びてしまったことがあると思います。それは、皆さんが幸運な自分、痩せてモテモテな自分など、商品を買ったその先にある幸福感や優越感である感情を買っているのです。
 そのため、物をたくさん売りたかったり、多くの学生を入学させたかったりしたければ、常に相手の感情に訴えた広報、学校作りをしなければなりません。
 本学のメリットである「いい授業が受けられる」「資格がたくさん取れる」「就職率がいい」「場所が名古屋中心部で都会」なども、学生の感情を捉えていなければ、学生募集には繋がりません。
 人間には数え切れない感情がありますが、どの感情を満たせば、人間の感情のニーズに応えることができるでしょうか?人間の感情のニーズを大きくまとめると以下の4つになります。

・安心のニーズ (例:いつも心穏やかでいたい/将来安定した生活をしたい/家を持ちたい)
・つながりのニーズ (例:認めてもらいたい/知っていてもらいたい/結婚したい)
・変化・好奇心のニーズ (例:新しい経験や挑戦をしたい/旅行に行きたい/海外に行ってみたい)
・ステータスのニーズ (例:特別でありたい/高級車が欲しい/いい服を着たい/他人に認められたい)

 こ れらの4つの感情のニーズのどれかを高いレベルで満たすと人は中毒になります。また、これらの4つの感情のニーズを複数満たすと、やはり人は中毒になります。つまり4つの感情のニーズのどれかを高いレベルで満たしてあげるか、複数満たしてあげれば、人はあなたを好きになり、あなたから離れられなくなります!

 例えば家が欲しいと思う感情を考えてみましょう。
  • (安心のニーズ)・・・・・・・・・・帰る場所がある/雨が防げる/冬が過ごせる
  • (つながりのニーズ)・・・・・・・結婚/子供がいる/親と同居する
  • (変化・好奇心のニーズ)・・・家を増改築できる/友達が遊びにくる
  • (ステータスのニーズ)・・・・・・マイホームを持っている
  • となります。家は4つの感情のニーズ全てが満たされています。だから人は通勤に何時間かけてでも、何千万円のローンを組んででも家が欲しいのです。

     それでは4つの感情のニーズを日本語別科にあてはめて考えて見ましょう!
  • (安心のニーズ)・・・・・・・・例:学費が安い/資格外やビザ関係書類の処理が早い/アルバイトや寮を紹介してくれる/日本で困ったことがあったら助けてくれる/分からないことを分かるまで丁寧に教えてくれる
  • (つながりのニーズ)・・・・・例:友達がいる/サークルが楽しい/イベントが楽しい/先生が親切
  • (変化・好奇心のニーズ)・例:校外学習やレクリエーションが充実している/授業に変化がある
  • (ステータスのニーズ)・・・例:いい大学に進学ができる/いい会社に就職ができる

  •  学生の4つの感情のニーズを軸に考え、業務にあたってみて下さい。何を学生に提供すれば、人気の大学になるかが分かります。 4つの感情のニーズは他の様々な場面でも利用できます。例えば、教職員のみなさんの悩みの1つである、自分の上司は自分に何を求めているのか?どこの感情のニーズを満たせば、職場で評価されるのか?について考えてみて下さい。
    安心か?つながりか?変化・好奇心か?ステータス(売り上げ)か?
     安心にウェイトを置いている上司には、結果を出しても報告を怠れば、評価されません。ですから、結果にいたるまでのプロセスもたくさん報告して下さい。
     逆にステータス(売り上げ)を求めている上司は、「安心はいいからとにかく結果を出してくれ」と思っています。ですから、プロセスをたくさん報告しても結果を出さなければ評価されません。 上司でも学生でも好ききらいの感情のニーズがどこにあるか考え、それを高いレベルで満たしてあげると、あなたを好きになります! 

     

    【まとめのひとこと】

    4つの感情のニーズを高いレベルで複数満たす学校づくりを心掛けよ!


    次回【第3回】は感情のコントロールについて考えます。

     

     





     
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