本法人元職員による横領事件への対応について


 平成23年3月から平成24年10月にわたり、本法人元財務担当課長により行われた合計1億1227万1500円の横領事件について、外部の専門家を交えた「調査委員会」が平成26年4月7日付けで設置されました。調査委員会による調査は2か月にわたり、その間、調査委員会は3回にわたって開催され、平成26年6月6日、「調査報告書」が答申されました。
 「調査報告書」の内容を踏まえ、本年6月9日付で「懲戒委員会」を設置し、懲戒委員会の意見を考慮し、本年6月30日、当時の管理責任者の懲戒処分を行うとともに、本法人理事会において今後の対応について、下記の通り決定いたしました。

 すでに再発防止策は徹底しているところではありますが、今回の横領事件のような重大な犯罪行為が、ほかならぬ財務の責任者によって長期間にわたりなされ、それが表面化しなかったという事実は、衝撃的なことでした。事件発覚以来、法人内部で調査・検証を進めることはもとより、第三者の専門家を含む調査委員会による調査も実施されましたが、そうした調査・検証結果を通じて、今回の事件の背景には、法人内の事務管理上のさまざまな問題があったことも明らかになってまいりました。
 本法人としては、今回の事件を厳粛に受け止め、全構成員の協力と団結のもと、高等教育機関を運営する学校法人としての使命と責任をあらためて自覚し、本法人の本来あるべき姿を目指していかねばなりません。今回の問題は、個人の犯罪行為であるとはいえ、その背景には、こうした犯罪を未然に防ぎ、早期に発見することのできなかった、事務体制の未熟さやチェック機能の不備など、法人全体のガヴァナンス上の課題があったことは否定できません。
 こうした事件発生とその背景事情に鑑み、本法人では、経理処理をはじめとした事務全般にわたる規程の整備と遵守をさらに徹底し、事務の適正化を図るとともに、その効果を検証するため、内部監査と外部の専門家による監査を定期的に実施するなど、改革・改善を進めているところです。このことは、今回の犯罪行為を未然に防ぐことができなかった本法人にとって、果たさなければならない当然の義務であります。本法人が今後も高等教育機関として存続していくためには、それぞれの果たすべき役割と責任をしっかりと自覚し、教育と人材育成を通じて社会に貢献するという、教育機関としての使命を全うするため、真摯に業務に邁進していかねばなりません。
 本法人は、元財務担当課長が横領によって、本法人に重大な損害を与えたことについて、本法人を信頼して入学し、学費を納入していただいた学生、卒業生、保護者の皆様、そして大学運営を支援・助成していただいているすべての皆様に重ねてお詫び申し上げます。今後は、一丸となって再発防止のため、強い決意をもって業務の改革にあたることをお約束いたします。
 本法人は、開設以来、優秀な人材を育成し世に送り出すことによる社会貢献を、その使命としてまいりました。そのために、学生が国家試験に合格できるよう、そして、良い就職をできるように万全の体制を整え、教育の充実を図ってまいりました。さらに、広く国際社会に貢献すべく、東南アジアを主とした海外からの留学生を積極的に受け入れてきました。現在は、さらなる教育の充実と国際化とを図るべく、アジア諸国のみならず、ヨーロッパ諸国からも留学生を募集し、受け入れる体制を整えております。異なる文化背景を有する学生同士が互いに学び合い、視野を広げていける大学づくりを行い、法人運営の健全化と国際化をさらに図ってまいる所存です。つきましては、本法人に対する皆様のご理解ご支援をあらためてお願い申し上げます。



1.懲戒処分について

今回の横領事件を未然に防止できなかった管理責任により、以下2名の懲戒処分を行いました。
・前法人事務局長/減給100分の10(6か月)
・元法人事務局長/減給100分の10(2か月)
両者とも自ら責任を取り、前法人事務局長は法人事務局長、理事、評議員を、元法人事務局長は、理事、評議員を辞任しました。
なお、横領事件の当事者である元財務担当課長はすでに平成25年5月に懲戒解雇いたしました。

2.会計顧問契約の打ち切りについて

 本学が長年契約していた会計顧問(公認会計士)については、その管理運営体制の不備に対して、現在まで適切な助言・指導がなされなかったため、今年8月末をもって顧問契約を更新しないことを決定いたしました。

3.再発防止策について

 すでに印鑑、通帳の管理者を分け、チェック体制を厳しくし、規程を整備する等の防止策を講じました。また、それらが機能しているか確認するために監事監査、内部監査を随時実施しています。今後とも再発防止に全力を尽くしてまいる所存です。

4.元職員に対する民事訴訟の経過と刑事告訴について  

 本法人は元財務担当課長に対し本年3月に民事訴訟を起こし、5月23日に東京地方裁判所において全面勝訴いたしました。この判決を受け元財務担当課長からの任意弁済がスタートし、横領した金員の使途も明らかになりつつあることから、本法人としては、刑事告訴せずに、被害金員の回収を最優先し、引き続き任意弁済を受けていくべきであるという結論に達しました。

 

 


以 上 

平成26年7月9日
学校法人茶屋四郎次郎記念学園
理事長 水野良治


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