ガイドブック2022
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●B●GInterview010 私が養護教諭をめざしたきっかけは二つあります。一つは、小学生のときに母が病気になり、寂しい時期がありました。そのときに心の拠り所になったのが学校で、先生や友だちと過ごすことで心が満たされました。当時の私のように、学校ではつらいことや苦しいことを見せずに過ごしている子もいます。そんな子どもたちの心に気づき、守ってあげる存在になりたいと思ったからです。もう一つは、中学生のころに死別した祖父の存在です。癌を患い、さまざまな治療を受けながらも薬石効なく、息を引き取りました。医療は日々進歩していますが、まずは病気にならないような生活習慣が大切であることを知り、子どもたちに伝えたいと考えるようになりました。 現在は宇都宮市にある小学校で、養護教諭として働いています。病気や怪我をした児童の応急処置はもちろん、体や心に関する悩みなどの健康相談、健康診断の準備、健康教育など、学校全体の保健にかかわる業務を担っているので、仕事内容は多岐にわたります。 やりがいを感じるのは、児童の成長を感じたときです。保健室での何げない気づきが、健康相談そして保健指導につながります。その結果、笑顔が増えると、頑張ってよかったと心底思います。いっぽうで、相談の中には私の心まですり減るような重いケースもあります。自分の心に余裕がないと、相談に乗るのがつらくなってしまうので、あえて趣味を楽しむ時間も大切にしています。自分の心を豊かにして、子どもたちとしっかり向き合えるように努めています。 東京福祉大学で学んだことも、現在の仕事でとても役に立っています。専門分野の講義や実技、中でも授業中に行っていたロールプレイは大変役立っていると感じます。保健室業務で行うさまざまな場面において、児童との会話から情報をつかむ機会が多いのですが、授業で学んだ問診の仕方や相談への対応など、先生からご指導いただいたことを思い出しながら実践しています。 これからは、変化に柔軟に対応でき、児童生徒や保護者、教職員から「椎名先生がいるから大丈夫」と思ってもらえる、安心を与えられる養護教諭に成長したいと思っています。そして将来的には「保健室=応急処置をする場」だけでなく、子どもたちが自主的に心身の健康について学べる場にしていきたいと考えています。 高校生のみなさんの目の前には、無限の可能性が広がっています。それをつかむのはほかの誰でもなく、自分自身です。高校卒業後、自分はどこへ進むのかと、悩むこともあると思います。たくさん悩んで決めてください。悩んで、悩んで、決めた道なら、どんな道を選んでも間違いはないと私は思っています。大学は同じ志をもった仲間がたくさんいる場所です。一人でくじけそうになったときには仲間の存在が支えとなり、時にはあなたの存在が仲間を支えます。仲間と切磋琢磨し、支え合いながら過ごす大学生活は人生において、かけがえのない宝物になります。もし、進路に悩んでどうしても決められない時は、素直に自分の心に従ってみてください。きっと心の中には思い描いているものがあると思います。椎名このみさん伊勢崎キャンパス教育学部教育学科2019年卒業(栃木県立佐野高等学校出身) 同じ志を持ち、支え合える仲間にたくさん出会える学校です!職業「保健室=応急処置をする場」だけでなく子どもたちが心身の健康について学べる場にしていきたい養護教諭教育学部教育学科 卒業→宇都宮市立田原西小学校にて、養護教諭として活躍中!

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