研究活動
現代社会の現実的課題の解決を目的として、実践的な研究を推進。
社会の発展に貢献しています。
東京福祉大学・大学院では「理論と実践の統合」を核として学部教育・大学院教育が行われています。学問とは、現実の社会で起こる様々な問題を発見し、解決することができるような、応用が利くものでなければなりません。東京福祉大学・大学院の教育研究ネットワークは学生の実践的な能力を高めるとともに、その枠を越え、社会の発展にも大きく貢献しています。
東京福祉大学の研究紀要です。下記のリンクをクリックすると、PDFファイルが開き、ご覧いただけます。
第14巻第1号第2号合併号 
第13巻第1号第2号合併号
第12巻第1号第2号合併号
第11巻第1号第2号合併号
第10巻第1号第2号合併号
第9巻第1号第2号合併号
第8巻第2号
第8巻第1号
第7巻第2号
第7巻第1号
第6巻第2号
第6巻第1号
第5巻第2号
第5巻第1号
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対して助成が行われております。
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文部科学省・日本学術振興会科学研究費採択課題紹介
要介護高齢者の意思の尊重と地域で看取られる地域生活総合型支援モデルの構築(令和3~6年度) 研究代表者:金 貞任教授
本研究では、新型コロナ感染が拡大する中で過疎地域と中小都市の私的・公的サポート・ネットワークの脆弱性とソーシャル・キャピタルに着目し、要介護高齢者の意思を尊重し、地域に見守られ、地域で看取られる「地域生活総合型支援モデル」の構築を目的としました。「ソーシャル・キャピタル」とは、人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、「信頼」、「互酬性(相互依存的な利益効果)の規範」、「ネットワーク」といった社会組織の特徴を意味します(内閣府、2005)。これは、脆弱性の高い要介護高齢者と家族介護者の包括的な支援策を講じる際に極めて重要です。研究方法として、2022年度に群馬県A市とB過疎地域、静岡県C市にて自宅で介護が必要な要介護高齢者と同居の家族介護者を対象に量的調査を実施しました。その結果、家族介護者の8割は、要介護高齢者の意思を尊重しており、ソーシャル・キャピタルは、「普通」が最も高く、次に「強い」、「弱い」の順になっています。要介護高齢者の人生の最終段階における居場所は、自宅を含む住み慣れた地域が2割、医療機関が3割強、介護施設が1割強です。本研究を通して、要介護高齢者が住み慣れた地域で人生の最終段階を迎えたいと希望する場合は、地域社会のソーシャル・キャピタルの醸成を図ることにより、家族と介護サービスの脆弱性が補完され、「地域生活総合型支援モデル」が構築されると思います。
中高生自殺予防教育プログラムの構築~大学生ゲートキーパー関与の検討~(令和3~6年度)
研究代表者:大門俊樹准教授
2014年、文部科学省による児童生徒の自殺予防に関する調査協力会議により、学校における自殺予防教育導入の手引きが示され、各地で自殺予防教育の取り組みが始まりました。そのなかでも、早期の問題認識と援助希求的態度、そして、それを受け止める存在を育成することが最重要課題といえ、現在、学校教育の現場でも、「SOSの出し方についての教育」が進められています。しかしながら現時点では教材も限られ、系統だったプログラムも確立されておらず、各学校の裁量に任されている状況にあります。
私は、SOSを受け止める存在の育成を目指し、2018年から、東京都自殺対策強化補助事業の一環として、学生向けワークショップ(通称:「心のブランコ」)を学内で実施、大学生ゲートキーパーの養成に取り組んできました。本研究では、同ワークショップのこれまでの実施内容をもとに、中高生に対する自殺予防教育プログラムを作り上げ試行することにより、同プログラムの構築を目指し、そのなかで大学生ゲートキーパー関与の検討をすることとしています。
2023年度、ゲートキーパー養成サークル「心のブランコ」を立ち上げ、キャンパス内の身近なSOSをキャッチできる存在となるだけでなく、中高などの学校教育現場での自殺予防教育プログラムに関する企画・実施も視野に入れ活動しています。現在、都内の区立中学校数校と連携し、プログラム試行を目指しています。よい成果を得られるよう、さらに進めていきたいと思います。
生体センサーを導入したIT版レジリエンス増進プログラムの策定(令和2~7年度)
研究代表者:齋藤瞳准教授
近年、スマートフォンやスマートウォッチ等、健康的な生活をサポートするために様々な機器やアプリケーションが開発されてきています。そして、スマートフォンのアプリケーションやSMSメッセージ等、モバイルを駆使したプログラム(mHealth)が多く研究され、その効果が認められつつあります。
日本では、国民の健康増進のために、2008年より特定保健指導が開始され、2015年にはストレスチェックが義務化される等、国民の健康増進のための対応策は急務となっています。また国際的にも、心身の健康に対する意識は加速的に高まりを見せています。
そうした背景を受け、本研究では、スマートフォンやスマートウォッチを利用し、個々人の心理特性を把握し、睡眠、心拍等の生理指標を日常生活の中で瞬時に記録し、介入に結びつけていくEcological Momentary Interventionを試みています。そして、交流分析理論や認知行動療法等の心理学的知見と、生体センサー等情報技術を効果的に組み合わせて、気軽に、効果的に、心身の健康を維持・増進することが出来るプログラムの策定を目指しています。
産前産後のケアの社会化と継続的な地域子育て支援の検討(令和4~6年度)
研究代表者:堀聡子講師
子育ては長年、家族の私事とされてきましたが、そのことが子育て期の家族を孤立させ、育児不安、子どもへの虐待などの問題を顕在化させています。こうした中で、1990年代以降、子育てを社会全体で支えようとする子育ての社会化の動きがみられるようになりました。その一つが地域子育て支援です。しかし、多くの地域子育て支援は主に産後1~2カ月以降の親と子を対象としたものであり、産前から産後直後のケアについては、いまも家族の私事とされています。また日本では、産褥期の支援は家族で行うべきものという規範があり、この時期の第三者による支援を困難にしています。ただし、産後うつの増加や子どもの虐待死が生後1カ月未満に多いこと等を考慮すれば、妊娠期から産後直後の時期を含め、第三者が切れ目なくサポートできる仕組みが不可欠です。
そこで本研究では、これまで家族に閉じられてきた産前産後のケアを社会化し、地域で継続的な子育て支援を行うにはどうしたらよいかを考えたいと思っています。①妊娠期および産後の女性およびそのパートナーの産前産後の支援に対するニーズを明らかにするとともに、②実際に産前産後の支援を利用した妊産婦たちの意識の変化を調査し、③産前産後の支援を広く地域子育て支援に位置付ける具体的な仕組みを構築したいと考えています。